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コピーライトひこぼし

2004年1月アーカイブ

 いまでは街にあまり見かけなくなったが、「魚屋さん」という商売がある。ぼくがこどものころにはどの街にも町内に一軒は魚屋さんがあった。いまでも数は減ったが、たまに見かける。
 魚屋さんの店頭には魚が並べられていて、客はそれぞれ献立を考えて気に入ったものを買うのだが、ならんでいる魚は当然お魚の姿をしていて、たいてい経木(きょうぎ)か樹脂の札に100gいくらという風に目方あたりの値段が書かれている。たとえば鯛を一匹(一尾)買ったとしよう。
 魚屋さんは、まずその鯛の捌(さば)き方を客に確かめてから売る魚の「目方」を量り、それからその鯛を奥へ運んで、鱗をはね、はらわたを出して、頭をはね、場合によっては骨を外して、指定のかたち(切り方)におろしてくださる。つまり「目方」を量った時からはずいぶんと目減りしてしまっている。
 これは、たぶん少なくとも日本に魚屋さんという商売が成立したときからの商習慣として確立している。客の立場で考えても鱗やはらわたなどの食べられない部分を持って帰っても処分に困るだけだし、魚の調理は“コツ”を心得ていて、かつそのための道具を持っていないとうまくはゆかないので、その点で双方の利害が一致しているわけだ。ただし、客が申し出ないと頭や骨は捨てられてしまうこともある。

 なんだか珈琲に関係ないような前置きが長くなってしまった。
 先週話題にした「オンデマンド焙煎」の珈琲豆屋さんでもじつは同じような仕組みになっている。店頭には生豆が並べられていて、客の注文に応じて目方を量り、それから焙煎する。多くの場合には最小単位は200gになっている(なかには100gからでも焙煎できる機械もあるが)。だから客が手にするときには一割から二割は目方が減っている。

 客は、あらかじめ目減りすることを知っていて価格を確かめないと、予想したよりもずいぶん割高な珈琲豆を買ってしまうことになる。
 ぼくの足が「オンデマンド焙煎」のお店に向かない原因のひとつはここにある。

 もうひとつは、ジェットロースターと呼ばれるあの電子レンジのような仕組みの焙煎機をどうも信頼できずにいることも事実だ。もしかするといずれ近いうちに珈琲豆は自分の家の電子レンジでチンするという時代が来るのかもしれないが…。
 まだ実験したことはない。 

 長い間、休刊してしまった。まず、お詫びします。
 そして「明けましておめでとうございます」♪

 名古屋には、ぼくが知る限りで10軒を超えるの自家焙煎の珈琲豆屋さんがある。
 その中の数軒では、客の注文に応じてその場で好みの珈琲豆を焙煎してくれるシステムになっている。それらのお店の“うたい文句”は当然ながら珈琲豆の鮮度を第一に謳う。

 しかし、そのお店で焙煎してもらった珈琲豆を家に持ち帰り、すぐに飲んだ場合に果たしてほんとうに期待するような“美味しい”珈琲が味わえるかどうかが、ぼくはいささか疑問だ。第一に焙煎直後の珈琲豆ではその豆の特徴を味わえないのではないかという気がするからだ。
 第二に、このシステムでは常に少量の焙煎しかしていないので、その都度安定した味が維持できているのかどうか疑問に思う。また、これは個人的な事情だが、ぼくはいちどに同じ珈琲を100gづつしか購入しないので、これらのお店の仕組みにそぐわない場合がある。
 第三に、店頭にブレンドが用意されているが、当然ながら豆の種類ごとに個別の焙煎をできないから、珈琲豆の持つ“個性”を維持して個別に焙煎したブレンドのような味わいは期待できない。
 また、もしもそのお店がハンドピックを輸出国だけに依存していて、店頭の薫りと鮮度だけでご商売をされているのなら、客は持ち帰った珈琲豆で大きな失望を味わうのではないかとすら心配してしまう。

 あるぼくの尊敬する先輩の珈琲に関するサイトによると、「オンデマンド焙煎」という言葉を用意している。そして、そのサイトではこうしたお店に関しては紹介をしないという方針を貫いている。
 ぼくも、その態度になんとなく同意している。

 ぼくは、そんな先入観があって、まだそれらのお店の珈琲の味を確かめたことがない。今後の課題にしたい。

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