2004年3月アーカイブ
よく、珈琲屋さんや珈琲専門店が、ふつうの喫茶店と違うのは「お子さまメニュー」がないという点をあげる人がいる。たしかに、いまでも珈琲屋さんのなかには『お子さま連れお断り』という意味の札を掲げた珈琲屋さんもある。
確かに店内をお子さまが走り回ったのでは、落ち着いて珈琲も飲めないかもしれない。
ぼくはこどものころ商店街のなかに住んでいたから、たまには父親に連れられて珈琲屋さんに行った。さすがに小学校の低学年の頃には珈琲を飲んだ記憶はない。たぶん五年生の頃からはせっかく珈琲屋さんに行ったのだからと、珈琲を飲むようになったような気がする。ちょっと“おとな”になったような気分を味わった。
最近、珈琲屋さんに入ってメニューに目を通すと、珈琲以外にも紅茶とかジュースとかがあり、ケーキ(なかでもシフォンケーキ)をおいているお店が多いことに気づく。珈琲屋さんにはメニューの都合上、当然ながら常に生クリームはホイップしてある。だからそれで飾れば多少とも作り置きのできるシフォンケーキは、いわば絶好の「お子さまメニュー」になることは違いないはずだ。
ところが不思議なことに、そんなシフォンケーキを食べている「お子さま」を見たことはない。なぜか、たいていご婦人の口に収まることに決まっている。
ぼくは、あの米国流のケーキをそんなに美味しいとは思わない。
「コーヒーの歴史」という本を誰かから借りて読んだ。挿入された写真なども含めて500ページに及ぶ「力作」だった。
ただし、この書は珈琲の味わい方に関するものではなく、珈琲豆がその時代にどんな経済的な価値をもたらし、「富」と「貧困」が生まれてしまったのかという経済学的な価値観を主題にしていた。
また題名の「コーヒーの歴史」も、本当は「コーヒーの経済史」が正しいように感じた。
訳者もとくに珈琲に関心があるわけでもなさそうで、単に忠実な訳に努める姿勢が見受けられる。これだけの大書だから、その翻訳作業もひとりでは手に余ったのかもしれない。時折記述に矛盾があったのが残念。
とはいえ価格が¥3,500(税別)なので、図書館かどこかで“借りて”お読みになられたらいかが?

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マーク・ペンダーグラフト 著
樋口幸子 訳
河出書房新社2002年12月30日発行




