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【90号】反米主義

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 名古屋の喫茶店には「アメリカン」というメニューがある。
 そもそも「アメリカン」とは、もちろん日本語で本来は「アメリカ人が好むような薄い珈琲」というような意味なのだろう。一般には「アメリカン・ロースト」という表現をして、焙煎度の低い珈琲豆を使った薄味の珈琲を指すようだ。
 ところが何故か名古屋の喫茶店では、普通に抽出した珈琲をお湯で薄めたものを「アメリカン」だと信じられていて、しかも普通の珈琲より値段が高かったりする。客のほうも、営業職などで一日に何杯も珈琲を飲む場合などは、
「二杯目だからアメリカン」
 というように注文することが、なかば常識とされている。
 はたして一日に何杯も珈琲を飲むと健康上よくないかどうかという問題は、この際の話題にはしないが、珈琲をお湯で薄めたものを「アメリカン」と呼ぶことだけはどう考えてもぼくには許しがたい。
 良心的なご店主の経営する喫茶店なら、せめて二~三種類の焙煎度のブレンドコーヒーを準備して、客の好みにあわせた焙煎度の珈琲を提供してもらいたい。それぞれの焙煎度の珈琲を「濃いめに」とか「薄めに」とか指定できれば、さらに親切だろう。

 ぼくの個人的な好みを言えば、あまり焙煎度の低いものは好まない。が、名古屋の喫茶店では一般的に焙煎度が高めの場合が多いので普段はあまり深煎りの珈琲は避ける場合が多い。
 いずれにせよ「アメリカン」と名のついた珈琲を飲んだ記憶はない。

ひょっとしたらぼくは「反米主義」だろうか

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