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2005年10月アーカイブ

 ぼくはいままでいろいろな喫茶店で珈琲を飲んだが、その中で「ブルマン」を飲んだことはたぶんほんの数回しかない。
 学生時代には、身分をわきまえずに何度か飲んだような気がするが、それほど美味しい珈琲を飲んだ記憶はない。
 いちばん記憶に新しいのは、尾張地区のある喫茶店で「父の日」の記念だからと、ふつうの珈琲の価格で「ブルマン」と称する珈琲を飲んだ時だろう。その喫茶店にお邪魔したのは二度目だった筈だ。そのお店の珈琲は二度とも美味しいとは感じなかった記憶がある。
 また、ある喫茶店でメニューに「ブルーマウンテン」があり、その産地をキューバと表示している喫茶店もあった。もちろん別の珈琲を注文したが、そのお店にはその後は足を運んでいない。完全な勘違いなのか、産地を偽っていたのか、品種を偽っていたのか定かではないが、現在でもそのお店の表示は改まっていないかもしれない。

 珈琲豆屋さんでの表示はいちおう信頼できるとしても、ぼくは喫茶店での珈琲豆の種類の表示をどうも信用できない。かなりウソっぽい。
 それでも「ブルマン」を注文する客はいる。これを、ぼくは「ブルマン神話」と呼ぶ。

果たして、信じる人は救われるか?

 やはりブルーマウンテンを「ブルマン」と呼んで珍重する気風は日本だけの特有の現象だそうだ。
 戦後、粗悪な珈琲豆しか輸入されなかった時期には「ブルマン」は美味で貴重な珈琲豆だったのかもしれない。だが時代は変わった。
 いまでも、大手商社では旧態依然とした選別方法で珈琲豆を輸入しているから、こうした珈琲豆と比較すれば「ブルマン」は高価だが上品で美味な珈琲豆であることに変化はない。
 財布に余裕があって、且つ自分で独自の珈琲豆の選択肢を持っていない人にとっては「ブルマン」は無難な存在だろう。
 しかしいまや、日本にはさまざまな経路が開拓されてきて、入荷する珈琲全体の品質も向上したし、消費者の選択の範囲もずいぶんと広くなった。

 日本では珈琲豆の名前を産地の国名や出荷する港の名前で分類して販売することがいまでも主流だが、たとえばブラジルだけを例に挙げてもその珈琲農園ごとに珈琲豆の品質は必ずしも均一ではない。1990年代以降には多くの国でその国の公機関が関与する輸出経路を外れて、独自の路を開拓する組織が出現した。彼らは、より品質の高い珈琲豆を生産する努力をされている。
 また、「フェアトレード」と呼ぶ運動も定着しつつある。

 非難を浴びる覚悟の上であえて言っておく。いまの日本の世の中には「ブルマン」以外にも個性的で、さらに美味な珈琲豆がたくさんある。そしてそれらを輸入して焙煎し、良心的な価格で販売されている珈琲豆屋さんもたくさんある。
 ぼくは、こうしたまだ零細だが美味しい珈琲を提供する努力を惜しまない彼らのような珈琲豆屋さんに注目している。
 もちろん大手の輸入業者さんも、美味しい珈琲を提供する努力をされているのだろうけれど、彼らの持つ既成の流通方法では珈琲のおいしさを消費者にまで届けられない。

 かつて日本でいちばん美味しい珈琲とされた「ブルーマウンテン」は、いまや「ブルマン神話」になったのではないだろうか。

 さて、素朴が疑問が沸く。ブルーマウンテンという珈琲豆の生産量はどのくらいあるのだろう。それはジャマイカ産の珈琲のなかで、いったいどのくらいの割合を占めるのだろう。
 また、そのブルーマウンテンの輸出相手国のなかで日本はどのくらいの割合なのだろう。
 まず、ブルーマウンテンはジャマイカの珈琲のなかでもきわめて生産量が限られていて、「希少価値」の高い珈琲だとされている。その希少価値の高さ故に、世界で唯一「樽詰め」で出荷されるとされている。ということは、選別から外れた豆やハイマウンテンなどは他の珈琲と同様に「袋詰め」で出荷されているということになる。
 そういえば日本中の珈琲豆屋さんで「ブルーマウンテン」を販売しているけれど、問題の「樽」を山積みにしたお店に出会ったことがない。ぼくの知る限りでは、良心的な珈琲豆屋さんの店頭には数個の樽が置いてあるけれど、山積みにするほどの販売量はないのかもしれない。
 ジャマイカから日本に輸出しているブルーマウンテンの総量はどのくらいあるのかをどこかで調べてみたいのだが、今のところその資料が見あたらない。ともかく珈琲は農産物だから増産にも限度があるだろうし、需要に見合う生産量がないからこそ「希少価値」があるのだろう。
 ところが日本の全国の珈琲豆屋さんや喫茶店にはブルマンがおいてある。どう考えても、その輸入量は日本中で消費しているブルマンの量には満たないだろうと、素人目には映る。
 あえて非難を承知でぼくの本音を漏らせば、魚沼産コシヒカリとか、松坂牛とかの店頭表示と類似点をも感じるのだが、実際はどうなのだろう。

 ちなみに、よく真新しいブルーマウンテンの樽に珈琲豆をディスプレーしている珈琲豆屋さんを見かけるけれど、じつはあれは日本の珈琲関連の業者が製造している、いわば偽物だ。

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 来週10月30日のフジテレビ系列『発掘!あるある大辞典2』は「コーヒーとダイエット」という内容の放送らしい。
 もしも興味のある方がいらっしゃったらご覧になると、多少の参考にはなるかもしれない。ちなみにぼくは「ダイエット」にはまったく関心がないので、たぶん見ないけど…

 ぼくは外国の事情をまったく知らないから、この話題は日本国内に限定する。少なくとも日本では最高級の珈琲豆といえば、まず「ブルーマウンテン」の名があげられる。このブルーマウンテンは世間では「ブルマン」と略称されている。既に「ブルマン」という名前は世間では最も高級な珈琲豆の「ブランド」として定着している。
 喫茶店のメニューにこの珈琲があれば、ふつうのブレンドコーヒーの数倍の価格設定がされている。また珈琲豆屋さんの多くでもこの豆を扱っていて、一番安価な豆の数倍の価格になっている。だから「ブルーマウンテンブレンド」なる商品も存在する。
 美味しい珈琲を飲もうとする一般のお客さんも、(特に好みがない場合には)最も価格の高い珈琲は最も上等であると信じるだろうし、いちばん上等な珈琲ならいちばん美味しいに違いないと考えるのが世間的には妥当だ。

 ここに「ブランド」の魔力がある。誰でも何かを購入するときには、対価を支払うのだから“外れ”を手にしたくないという心理が働く。聞き慣れない名前の珈琲豆よりは値段は高くても「ブランド」で安心を買う人が多い。
 また、珈琲豆の場合「なんとかマウンテン」と名乗るだけでも商品価値が高まる傾向が見られる。
 「ハイマウンテン」とはジャマイカの珈琲のうちで「ブルマン」になれなかった豆だし、「エメラルドマウンテン」はコロンビアの珈琲豆だ。「ガヨウマウンテン」はインドネシア産で「クリスタルマウンテン」といえばキューバ産だ。余談だが「キリマン」はもちろんキリマンジャロという山の名前で、こちらはタンザニア産だ。

 ここから先はぼく個人の好みの問題なので、このサイトの読者のみなさまに強要するつもりなどはもちろんないけれど、ぼくはこの「ブルマン」を美味しいとは思わない。他の南・中米諸国には優秀な農園がたくさんあって、もっと個性的な魅力ある珈琲豆を生産しているし、珈琲の価格もほぼ適正に流通されていると信じている。
 この話題はもう少し続けたいので、次回も「ブルマン神話」について書くことにする。

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◆ 名古屋市西区の「茶人館」さんが惜しまれつつ、そのお店を2005年9月30日をもって閉じられた。
 昨日、愚生も最後の訪問をさせていただきご店主の丁寧なご挨拶をいただいた。永いあいだお世話になりました。
 また、どこかでお目にかかる日がくることを念願します。(伏

◆今日10月1日は「コーヒーの日」だそうだ。
 だからたぶん全国のたくさんの珈琲豆屋さんで『バーゲンセール』が行われていると思う。おなじ珈琲豆なら値段の安い日に購入したほうが財布の負担が軽いので、ご近所でセールのお店をご存じなら足を運ばれたらいかがか。
 とはいえ、安いからとはいえ買いだめはお薦めしない。もちろん器具などの衝動買いも推奨できない。フィルターの類なら安ければ買いだめしておこうね。

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