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【99号】珈琲の値段《2》

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 珈琲屋さんにしろラーメン屋さんにしろ、あるいは呑み屋さんにしろ、すべての飲食店は営利を目的としている。「水商売」という言葉があるように、その経営は想像以上にむずかしい。また、例外的に一定の施設の利用者のために利益を度外視して営業している場合があるが、その場合でも採算性まで無視してはいない。

 珈琲屋さんに限定して考えると、珈琲や紅茶の原価計算はわりあい簡単で粗利率はかなり高いはずだ。だから収益を増やすためには珈琲一杯の「単価」を単純に上げればよいように考える人もいる。一時流行った「ノーパン喫茶」などもその典型で、もうここまで来ると珈琲屋の領域を外れている。

 一杯の珈琲に別の付加価値を加える方法もある。豪華なお店の雰囲気や、高価な食器を備えておいて「豪華な応接間」としての機能を持たせたりするお店もある。また、画廊を兼ねたり、器などの展示販売で収益を得るお店もある。

 単に来客を増やすためには「単価」を低く設定する方法もあるが、客席の数は一定だから今度は回転率が問題となる。
 また原価をもっと低くするお店もある。当然珈琲豆の質は落ちるから珈琲の味も落ちる。

 ここでぼくの本音を言っておく。『珈琲の値段』を保ちながらお客さまの数を減らさないためには「美味しい珈琲」を提供する努力は欠かせない。お店のしつらえや食器は質素でも、客に提供する珈琲の味さえ確かなものなら、少なくとも大きな収益は得られなくても固定客を確保できる、とぼくは思う。

 ところがそういう地道な努力をされる珈琲屋さんの数は、残念ながらあまり多くないのが現実のようだ。

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