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【106号】焙煎

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 ぼくらが知っている珈琲豆は褐色や黒褐色をしているが、これは採取・精製された生の珈琲豆を「焙煎」したあとの姿だ。ぼくらが飲む珈琲は、はるか南の国で生産されているが、はるばる海を越えて輸送され、その後「焙煎」という過程を経て消費者の手許に届く。また多くの場合には、その上「粉砕」されて流通している。この状態になった珈琲豆はじつは著(いちじる)しく保存性に欠ける。
 これに比較すると、日本茶の場合には(ぼくは詳しいことを知らないが)生産されたお茶の葉は揉んで加熱され、乾燥されて安定した「茶葉」の状態で流通するから、保存性がはるかに高い。また紅茶などの発酵茶の場合にも、発酵の過程が加わるが最終的には乾燥した「茶葉」の状態で流通してぼくらの手許に届く。
 その点、焙煎された珈琲豆は多孔質の不安定な状態であり、また二酸化炭素を放出して劣化する。だから良心的な珈琲豆屋さんの説明では、最悪でも珈琲豆は豆の状態で一ヶ月、挽いたら一週間で消費しなくては『美味しい珈琲』は飲めないという。

 ぼくが知る限りでは、焙煎された珈琲の場合には(粉砕後でも)焙煎後一年間の「賞味期限」の表示が許されているようだが、どう考えてもこの期間は非常識だ。

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