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【124号】恋の季節

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 数ある戦後日本の歌謡曲の歴史の中でも、たぶんこの曲より美味しそうな珈琲を唄った曲をぼくは知らない。
 1968年の発売で、歌ったのは「ピンキーとキラーズ」というグループで、男性4人を従えたメインボーカルはピンキーこと今陽子さんだ。この「恋の季節」は大流行して、オリコンヒットチャートで17週トップを飾り、その年のレコード大賞新人賞を受賞した。その後の「ピンキーとキラーズ」はこれといったヒット曲に恵まれずに71年に解散している。また今陽子さんのほうは米国での修行を経ていまも現役でご活躍だ。

忘れられないの あの人が好きよ
青いシャツ着てさ 海を見てたわ
私ははだしで 小さな貝の舟
浮かべて泣いたの わけもないのに
恋は 私の恋は 空を染めて燃えたよ
死ぬまで私を ひとりにしないと
あの人が言った 恋の季節よ

恋は 私の恋は 空を染めて燃えたよ
夜明けのコーヒー ふたりで飲もうと
あの人が言った 恋の季節よ

《作詞=岩谷時子:作曲=いずみたく》

 当時、街中でこの「わすれられないの~」という歌声が聞こえた、という。そういえば、この当時ぼくが住んでいた「大曽根商店街」でもラウドスピーカーからこの曲が流れていた記憶が鮮明だ。

 ただ、この歌のなかで彼女は残念ながら「夜明けのコーヒー」を実際には飲んでいない。あのひとがそう言ったことを思い出して「恋の季節」だったと唄っているに過ぎない。また彼女が後日に述懐されている通り、彼女は当時まだ16歳だったから、その言葉の意味さえ解っていなかったという。

 ちなみにぼくも、こんな美味しい「夜明けのコーヒー」を飲むような“幸運”に恵まれた経験は未だにない。

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