近所の珈琲屋  トップページメニュー>週刊・近所の珈琲屋
コピーライトひこぼし

【145号】自家焙煎珈琲《3》 スペシャルティコーヒー

| コメント(0)
◆ニューウェイブ◆

 ちょっと話題がそれるが、珈琲豆の生産地と消費地における珈琲の生豆の流通にも変化が起きた。

 従来の珈琲の生豆は、その生産地の地名、標高、品種、豆の粒の大きさ、欠点豆の混入度、などで大まかな分類をして評価されて出荷されていて、いわゆる商品先物取引の対象にもなっている。その年ごとに生産量や霜害などで大きく相場が変動するからだ。
 それに対して、1990年前後から生産国と消費国にスペシャルティコーヒーと呼ぶ流通の運動が発生した。スペシャルティコーヒーとはごく簡単に日本語に直訳すると「特選珈琲」となる。従来の選別では評価されないようなおいしい珈琲豆の生産者の農園に正当な評価を与え、農園(生産者)の名前を明記して従来とは別の経路で消費地に送り、焙煎業者や珈琲屋さんを経てぼくら消費者においしい珈琲を届けようという運動だ。
 そこで各生産国と米国を主体として消費国に「スペシャルティコーヒー協会」という組織が設立された。
 この組織では、優れた生産地の農園で生産・精製された珈琲豆を選りすぐり、場合によっては品評会を催して、既成の流通経路とは別に消費地へ送られ、街の珈琲屋さんや自家焙煎珈琲豆販売店を経て、ぼくらのような消費者の手許にまでおいしい珈琲が届けられる。
 従来の珈琲専門店のメニューにはストレートコーヒーに生産された国名あるいは国名・品種・グレードが表示されていたのに対し、最近の自家焙煎珈琲店の多くでは生産された農園名や生産者の名前、場合によっては精製方法までが書かれていることがあるのをご存じの方が多いと思う。これらの珈琲は従来の流通経路とは違う手法で消費地に届けられた珈琲豆だと考えてもよい。
 これらの珈琲のなかの多くがスペシャルティコーヒーと呼ぶにふさわしい「おいしい珈琲」だといえる。
 日本茶の場合には普及品と高級品ではすこぶる価格の落差があるが、珈琲豆の場合にはそれほどの差はない場合が多い。希に品評会のチャンピオンの珈琲の場合には100g1,000円を超す価格設定がなされている場合もあるが、これはごく例外的だと思う。それでもあのおいしくないブルーマウンテンよりはよほどお値打ちであるし…
 また消費国の大手焙煎業者の中には、生産国に直営農場を持っていて、その農園名を冠しているばあいもあるし、街の珈琲屋さんのなかには品評会で落札経験のある農園から、その後継続的に直接買い付けている場合もあるようだ。
 また「グルメコーヒー」と称する珈琲も見かけるが、この用語のもつ意味合いにはやや曖昧な要素を感じる。
 いずれにせよ、生産者が正当な評価を受けたいという願いと、消費者が優れた珈琲豆を入手したいという欲求の両者が生み出した新しい珈琲の流通が生まれ、今後も大きく育ちつつある。
 ぼくはこの運動を珈琲の世界の「ニューウェイブ(新しい波)」“New Wave”だと考えている。ちなみに先回の記事の「ヌーベルバーグ」と今回の「ニューウェイブ」は仏語と米語で「新しい波」、どちらもご存じのとおりで映画運動の用語。

コメントする

過去の記事

2003
4 5 6 7 8 9 10 11 12
2004
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2005
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2006
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2007
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2008
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2009
1

ご意見はこちらから

最近のコメント

トラックバック

Powered by Movable Type 4.23-ja
Ver:4.23-ja

近所の珈琲屋 total:today:yesterdy:
Ver 4.2306
コピーライトひこぼし