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2007年6月アーカイブ

 珈琲屋さんと麺類の「きしめん」にはまったく関係などないと思われるかもしれないけれど、じつは微妙な共通点がある。名古屋の街には喫茶店が多いことはもちろんだが、うどん屋さんや蕎麦屋さんだってたくさんある。お昼には喫茶店でランチを食べる習慣のひとも多いけれど、ぼくを含めて麺類の愛好家も多い。
 名古屋のうどん屋さんの多くでは「うどん」はゆで麺を用意している。が、「お蕎麦」や「きしめん」に限っては客の注文に応じてから茹でるお店が少なくない。これは珈琲屋さんの場合における「個別抽出」に相当する。それだけ蕎麦やきしめんは茹でたあとの味の劣化が激しいことを意味する。
 またきしめん屋さん、うどん屋さんには「手打ち」を謳うお店も多い。これは珈琲屋さんにおける「自家焙煎」に相当すると考えても差し支えない。そのお店には製麺所から仕入れた麺の味に満足できない職人さんがいて自分で麺を打つわけだから、少なくとも市販の製麺所の麺よりは優れた味を目指している場合が多いからだ。
 とはいえ麺類の場合には「出汁」や「てんぷら」などの「かやく」の修行も要る訳で、「手打ち」だからおいしいとは限らないから、修行は珈琲屋さんよりある意味では厳しいかもしれない。
 逆にうどんやきしめん、蕎麦の場合には一定の味覚をさえ満足する品を提供すれば、客は少なくとも満腹感だけは味わえるのに対して、珈琲では満腹感は伴わない。そういう意味で珈琲屋さんでは「おいしくない珈琲」だけを提供していては、特別な工夫をしない限り客足はおそらく間違いなく間もなく減るに違いない。だから珈琲屋さんの場合にも修行なくして経営は成り立たないはずだ。

 ちなみに、名古屋の街には「手打ちきしめん」の看板を掲げるお店はたくさんあるが、ほんとうに美味しいと思うに足りる本物の「手打ちきしめん」を喰わせるお店は必ずしも多くない。
 「自家製麺」の看板を掲げる麺類屋さんのチェーン店もあるが、セントラルキッチンで製麺してライトバンで運ぶようなフランチャイズチェーンの麺類屋さんに足を踏み入れる輩の心理を、すくなくともぼくは理解できない。

今週のきしめんの話題はやや辛口だったかも?

 じつは珈琲屋さんにとって来店する客においしい珈琲を提供するために「自家焙煎」をすることだけが唯一の方法ではない。
 良質なおいしい珈琲豆をどこかから入手して、焙煎された珈琲豆の鮮度を十分に管理して、かつ丁寧な抽出をすればその珈琲屋さんではおいしい珈琲を提供することができることはいうまでもない。そんな珈琲屋さんも街にはたくさんある。
 また街の中小焙煎業者さんのなかにはそんな努力をされている良心的な経営をされる業者さんも多い。
 そのなかで「自家焙煎珈琲豆屋」さんも、経営を安定するべく店頭や通販以外の販路を求めている。また珈琲屋さんを開業されるオーナーさんも高品質な珈琲豆を探している。だから街の珈琲屋さんの中には街の小さな自家焙煎珈琲豆屋さんから少量ずつ焙煎された珈琲豆を仕入れているお店も少なくない。ちなみにぼくが「近所の珈琲屋」のサイトでご紹介している珈琲屋さんのなかの多くはご自身では焙煎されていないけれど、街の自家焙煎珈琲豆屋さんから高品質な珈琲豆の供給を受けている。
 こんな珈琲屋さんでは「自家焙煎」をされていないが「自家焙煎珈琲」と同等な、充分おいしい珈琲を味わうことができる。ぼくはこれらの珈琲屋さんを『準自家焙煎珈琲店』と呼びたい。なかには珈琲豆の供給元を表示されているお店もあるが、多くの場合はその公表をしていない。それはそのお店にとっては死活に拘わる、いわゆる企業秘密だからだ。
 だからぼくのサイトでも、かりにぼくが知っていてもご紹介している珈琲屋さん毎の珈琲豆の仕入れ先には触れていないし、また不明なお店も多い。
 なかには「自家焙煎珈琲」と謳っていながらそのお店では焙煎技術を持っていないお店もある。この場合には良心に従えば、この表示にはやや疑問を抱くが、それでも一定の水準以上の味の珈琲を提供されていれば、ぼくとしてはあえて非難することは慎んでおく。
 その逆に、そのお店で珈琲を「自家焙煎」をされているのにも拘わらず、おいしいとは感じないような珈琲を平然と客に提供するお店も存在するが、そんなお店はぼくは「近所の珈琲屋」さんの定義には加えていない。
 ぼくの探している「近所の珈琲屋」さんでは、「おいしい珈琲」を適価で提供されて「くつろぎの空間」を提供されてくださればよいのだから…

 昨日6月1日付「朝日新聞Be-Entertainment(通称赤ビー)」の「やって未体験」に『運命の三分間一本勝負・コーヒー入れ』と題した記事があった。
 その内容をここでご紹介したいけれど、残念ながらその紙面を読むか「アスパラクラブ」という無料会員制サービスに加入している人しか読むことが出来ない仕組みなので、ここに内容を引用するのは見送る。
 内容はいたってお粗末で、与えられた珈琲豆を「ハンドドリップ」で美味しく抽出する技法の中の一例を紹介しているに過ぎない。また珈琲豆の鮮度や品質で淹れた珈琲の味が大きく左右されるということには一切触れていない。天下の朝日新聞の取材にしては「粗」の目立つ記事だったが、取材した対象が東京に本社を置く某大手焙煎業者だから、全国のスーパーなどで挽いた粉末の状態で長期保存された商品でもなんとか“マシな味”の珈琲を飲む一手段を披露しているというだけだという印象を大きく感じる。
 確かに世の中には「インスタントラーメン」を美味しくする技とか、傷みかけの野菜の活用術とかいう記事も読者にとって参考になるから、今回の「三分間一本勝負…」という記事もまったく無意味ではなかろう。
 とはいえせっかく日本で最大級のロースターの珈琲教室の取材をしたのだから、せめて珈琲豆の鮮度についてももう少し丁寧に触れて欲しかった。また記事の中に冷凍保存して頻繁に出し入れを繰り返すより冷蔵庫か常温で保存するほうが良好だ、というような意味の文章があったが、これにも異論がある。長期間保存する場合には冷凍庫のほうが優れているし一旦解凍したら、その後は常温で保管して短期間で飲み終えるべきだ。
 いずれにせよどんなに「ハンドドリップ」の技(わざ)を磨いても、その素材が某大手焙煎業者がスーパーの店頭に挽いた状態で販売しているような珈琲豆(粉末)ではほんとうに美味しい珈琲は期待できないことだけは間違いない。

珈琲豆は珈琲豆屋さんで焙煎したてを豆のまま買いましょう!

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