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【149号】自家焙煎珈琲《7》 水商売

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 もちろん珈琲屋さんも喫茶店営業だからいわゆる「水商売」に属する。だから当然に基本的に現金商売だ。だから材料の仕入れ先からの信用度は必ずしも高くない。その日の売り上げは現金になり、それで明日の商売の材料を仕入れる。前払いのチケットなどを値引きしてでも販売したい気持ちがよく解る。
 だから「粗利率」を如何に確保するかが利益確保のためには重要で、メニューの価格を低く設定しようとすると材料費も低くしたいのが本音だろう。
 名古屋市内には結構たくさんの自家焙煎珈琲の喫茶店があるが、その中には原価率を低くするために自家焙煎をしていると思われるお店もある。喫茶店営業では珈琲豆は主要な材料だから焙煎業者などを経由せずに生豆を仕入れて自分で焙煎すれば無駄な経費を省くことができる。「粗利率」と「来客数」で利益を確保する作戦で、必ずしもそういうお店の経営方針を咎(とが)めるわけではないけれど、ほとんどの場合「自家焙煎」の看板に誘われて入ったものにとっては大いに期待を裏切られる結果となる。
 こんなお店では自家焙煎をしていても大きなネルで数十杯を一度に抽出していて、冷めた出し置きを雪平鍋などで再加熱しているから、客は香りのない濁った珈琲を飲む羽目になる。だからこの手の珈琲屋さんでは美味しい珈琲に恵まれることはあり得ない。そんな珈琲屋さんでもちゃんと一定の数の固定客はついていて、その経営は気取った高級な珈琲屋さんより安定している場合が多いから驚く。個人経営で従業員を雇用せずに家族だけで喫茶店を営む場合にはあまり先のことを考えずにその日の「日銭」を稼ぐほうがよいのかもしれない。
 ずいぶん以前だが、市内のさる場所にあった自家焙煎の珈琲屋さんでは店頭の焙煎機が廻っていて安価な珈琲豆の小売りもしていながら、とても乱雑な風景を感じさせる店内ではブレンドを一杯200円で飲ませていた。抽出は確認できなかったがもちろん出し置きだった。
 世の中には「自家焙煎」の珈琲ならさぞ美味しいだろうという常識があるが、少なくとも名古屋の喫茶店事情ではこの常識は必ずしも通用しない。名古屋の喫茶店では「モーニング」と「ランチ」が常識で、しかも珈琲が「自家焙煎」なら鬼に金棒、日銭が稼げられれば「水商売」は安泰のようだ。

もちろん「水」のお代わりはできたが…

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