【161号】家庭でも珈琲を《4》
珈琲豆を買う
どんなに上等な道具を揃えていても、珈琲を淹れるためには珈琲豆がなければ始まらない。ぼくの場合も最初にカリタを買ったお店で珈琲豆を買った。
まだそのころは珈琲豆の鮮度についての知識もなかったし、もちろんミルを買うような経済的な余裕もなかったから店頭で珈琲豆を挽いてもらって購入した。
もう今から溯ること数十年も前の出来事だからどんな豆を買ったのかは全く記憶がない。おそらく店員さんの薦める安価なブレンドを入手したのだろう。が、これはあくまで想像に過ぎない。
当時の珈琲屋さんの店頭の珈琲豆の在庫の種類はそれほど多くなかった。また価格も「ブルーマウンテン」を除けばそれほどの幅がなかったような気がする。数種類の「ブレンド」と、国名で分類されただけの「ストレート」が数種類あっただけだった。「ブラジル」はブラジル産の珈琲だし「コロンビア」はコロンビア産、「モカ」はイエメン産の珈琲で、国名ごとに味の特徴があるとされていた。
アフリカ大陸の各地や南アジア諸国でロブスタ種の安価な珈琲豆が採取されていて、多くがブレンド用にされていることも知らなかったし、「モカ」の産地のほとんどがエチオピアだということも知らなかった。
それはともかくとして、珈琲豆と抽出器具が揃ったら家庭でも本格的な珈琲を味わうことができる。まずはお湯を沸かし、道具を暖めてドリッパーにペーパーを敷き、適量の挽いた豆を入れたら、わずかな量のお湯で豆を蒸らし、数回に分けてお湯を注げば珈琲茶碗には珈琲が満たされた。
まず一口、試しに飲んでみたら苦いのでお砂糖を加えたら、まるで喫茶店で飲むような珈琲だ。
この日にぼくは生まれてはじめて「家庭でも珈琲を」飲んだ。
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